片山庭園のブログ

重爺の藤

2018/5/11更新

一昨年の春先、長年ひいきにしていただいている重爺さんから「部屋から見える庭の藤棚が壊れて、藤も弱ってしまった。新しく棚を作ってくれないか」という依頼をいただきました。以前は見事な花を咲かせていたという藤は年をとって細く弱々しくなっていましたが、新しい棚に誘引して手入れをしてやると、息を吹き返したようです。「三年もすればまた花が咲くようになるよ、お爺が百歳まで生きれば三尺藤が見れるよ」と話したのを思い出します。

あれから三年、藤はようやく花が咲き揃ってきましたが、残念ながら重爺は、自分の部屋からではなく天国から藤の花を見ることになってしまいました。藤棚を直した年の十二月、98歳で天寿を全うされたのです。

先月、息子さんが我が社に来られ、「お爺の藤がきれいに咲いて、眺めているとお爺を思い出すよ」と言っておられたのを聞き、たまらず藤棚を見に行きました。弱って今にも枯れそうになっていた藤が、見事な花を咲かせていました。まだ三年目ですから棚全体にまでは広がっておらず、花の長さもまだ60〜70cmですが、あと二年もすれば全体に広がって、90cmの立派な三尺藤になるのではないかと思います。

ご家族の方はこれからも、毎年花が咲くたびお爺を思い出すのでしょうね。

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